XENLOOK C2PA検証
コースの目次
全10章のうち第3章

第3章出どころを守る5層の印

1つの技術だけでは、かんたんに壊れてしまいます。この章では、このサイトが使う5つの層(XMSE)を1つずつ見て、コンテンツの種類ごとにどんな道具を使うのかを、表にまとめます。

  • 正式な回の名前 · パイプラインと種類別モジュール構造の分析
  • 実習 4ステップ
  • ログインが必要な実習があります
この章で学ぶこと
  • 5層の名前と順番、それぞれの役割がわかります。
  • ハッシュ(ぴったり一致を見る指紋)と、フィンガープリント(似ているかを見る指紋)の違いがわかります。
  • 画像・動画・音源・文書で、使う道具が違う理由がわかります。

やさしく理解する

玄関の鍵が5つあるのと同じです
玄関に鍵を1つだけ付けると、その1つが破られたら終わりです。暗証番号キー、補助錠、ドアチェーン、防犯カメラ、出入りの記録を一緒に使えば、1つが破られても、残りが守ってくれます。出どころの情報も、SNS に投稿したり保存し直したりすると一部が消えてしまうので、何層にも重ねて守ります。

ファイルが SNS・メッセンジャー・ウェブを通ると、メタデータ(ファイルの中の付属情報)が消えたり、再圧縮や切り抜きが起きたりします。そうなると、C2PA の記録だけでは、出どころを守りにくくなります。

① 見えない印(不可視ウォーターマーク):目や耳ではわからない信号を、絵や音の中に埋め込みます。画像と動画には VideoSeal、音楽には AudioSeal を使います(どちらも MIT ライセンス)。

② 痕跡マーク(フォレンジックマーク):ファイルに手を加えた痕跡を探すための印です。Sigil(Apache-2.0)を使い、Pixseal が補助の役割をします。特定の人物を名指しする根拠としては使いません。

③ 似た指紋(フィンガープリント):第2章のハッシュが「ぴったり一致を見る指紋」なら、フィンガープリントは「似ているかを見る指紋」です。大きさが少し変わっても似た値が出るので、あとで見つけ直せます。画像には PDQ(MIT)と imagehash(BSD-2)を使います。動画用の vPDQ は準備中です。

④ C2PA 証明書:だれが、いつ、どの道具で作ったのかを書いて、署名します。第4章でくわしく学びます。⑤ 記録保管:発行の記録を、許可された人だけが使える帳簿(閉じたハッシュチェーン)に、順番につなげて保管します。

画像・動画・音源・文書は、信号の構造が違うので、使う道具も違います。また、商用利用できるオープンソース(MIT・Apache・BSD など)だけを選び、研究専用(research_only)の資産は外します。このライセンスの確認も、大切な仕事です。

正直にお伝えしておくことがあります。体験ページの一部のステップは、実際のエンジンではなく、まねたもの(シミュレーション)です。各層が加工にどれだけ耐えるかをまとめた公開の測定資料も、まだ足りません。そのため、このコースで自分で実験してみます。

図で見る

  1. 見えない印不可視ウォーターマーク
  2. 痕跡マークフォレンジックマーク
  3. 似た指紋フィンガープリント
  4. C2PA 証明書記録+署名
  5. 記録保管閉じたハッシュチェーン
5層は、この順番で重なります。1つの層が消えても、ほかの層で出どころを見つけ直せるようにするためです。

実際にやってみる

上から順に、1ステップずつ進めます。ステップごとに、「こう見えれば成功」と同じかどうかを確かめます。
  1. 「技術」グループで、5層の構造のページを開き、層ごとに名前と役割を確かめます。
    こう見えれば成功 5つの層が、順番に説明されています。
    5層の構造を開くログイン不要一部韓国語の画面
  2. 見えない印、似た指紋、痕跡マークのページを、順番に開きます。ページごとに、「使う道具」「ライセンス」「測定の状態」を探して書き留めます。
    こう見えれば成功 ページごとに、道具の名前(例:VideoSeal、PDQ、Sigil)とライセンスが見えます。
  3. 「適合性」ページで、ファイル形式ごとのカードを見ます。画像・動画・音源・文書のうち、どの形式に C2PA 証明書を付けてみたのかを、数えます。
    こう見えれば成功 PNG・JPEG などの画像、MP3・WAV などの音源、PDF などの文書のカードが見えます。
    適合性ページを開くログインが必要
  4. 比較表を作ります。横の行は画像・動画・音源・文書、縦の列は5層です。マスごとに道具の名前を書きます。見つからなければ「見つからない」、準備中なら「準備中」と書きます。
    こう見えれば成功 4行×5列の表が埋まり、空欄がなく、「道具の名前/準備中/見つからない」のどれかが入っています。
    ログイン不要
メンターと一緒に行う部分 · パイプライン担当のメンターと一緒に、比較表を見直します。「見つからない」のマスが本当に「ない」のか、ページに書かれていないだけなのかを、確かめます。

できたかどうか確かめる

下のすべてに「はい」と答えられたら、この章は修了です。
  • 5層を、順番に言えますか。
  • ハッシュとフィンガープリントの違いを、1文で言えますか。
  • コンテンツの種類別の比較表を、空欄なく埋めましたか。

まちがえやすいこと

  • よくある誤解印をたくさん押すほど、その写真は本物だということです。
    実際には層が多いと、出どころの情報が残りやすくなるだけです。内容が事実かどうかとは、別の話です。
  • よくある誤解ハッシュとフィンガープリントは、同じものです。
    実際にはハッシュは、1文字違うだけでまったく変わる、ぴったり一致を見る指紋です。フィンガープリントは、少し変わっても似たまま残る、似ているかを見る指紋です。
  • よくある誤解オープンソースなら、どれでも商用サービスに使えます。
    実際にはライセンスごとに条件が違います。研究専用の資産は商用サービスに使えないので、外します。

確認クイズ

  1. 問題 15層を、順番に言ってみましょう。答えを見る答えを閉じる
    見えない印(ウォーターマーク)、痕跡マーク(フォレンジックマーク)、似た指紋(フィンガープリント)、C2PA 証明書、記録保管(閉じたハッシュチェーン)の順です。
  2. 問題 2写真の大きさを、少し小さくしました。ハッシュとフィンガープリントのうち、似たまま残るのはどちらですか。答えを見る答えを閉じる
    フィンガープリントです。ハッシュはまったく変わりますが、フィンガープリントは「似ているかを見る指紋」なので、似た値が出ます。
  3. 問題 3なぜ、コンテンツの種類ごとに違う道具を使うのでしょうか。答えを見る答えを閉じる
    画像・動画・音源・文書は信号の構造が違い、1つの道具ですべてを同じ品質で扱うのは難しいからです。

用語のまとめ

不可視ウォーターマークinvisible watermark
目や耳ではわからないように、コンテンツの中に埋め込む信号です。
フォレンジックマークforensic mark
ファイルに手を加えた痕跡を探すための印です。
フィンガープリントfingerprint
少し変わっても、似たまま残る指紋です。
モダリティmodality
コンテンツの種類のことです。画像・動画・音源・文書が、それぞれ1つのモダリティです。
ライセンスlicense
ソフトウェアを使える条件です。商用で使ってよいかどうかが大切です。

実習記録シート

印刷して手で書くか、同じ項目を文書に書き写します。メンターの確認をもらえば完了です。
第3章 実習記録シート出どころを守る5層の印
実習日
記入者
メンター確認
  1. 5層の名前と役割(1行ずつ)
  2. コンテンツの種類別・来歴証明方式の比較表(4行×5列)
  3. ライセンスの都合で外した道具と、その理由
  4. 「準備中」や「見つからない」のまま残ったマス
  5. メンターの確認コメント